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野原しんのすけ

教えます

野原しんのすけ

出航だホホ～～～～～イ！

野原しんのすけ

「う～～～～さぶいですなぁ……」
そこそこ分厚い防寒具に身を包む5歳児の少年。
身を縮こませながら、ガタガタと震えていた。

野原しんのすけ

鼻水も少し出ている。

野原しんのすけ

「オ？」

野原しんのすけ

きょとんとした顔でシュンの方を向く、鼻水がぶらぶらする。

野原しんのすけ

「チ～～～～ン！」

野原しんのすけ

シュンが持つティッシュにそのまま、鼻水を啜り落とすようにする。
全く遠慮なしに。

野原しんのすけ

「お～～～、鼻のむずむずがスッキリしたゾ
　シュンちゃんは気が利きますな～」

野原しんのすけ

偉そうに腕を組んで、うんうんと感心した様子で頷く。

野原しんのすけ

「それほどでも～育ち盛りですから」

野原しんのすけ

何故か誇らしげに、うへへと笑いながら頭を掻きながら照れてる。何故か。

野原しんのすけ

「…………」

野原しんのすけ

「どこが？」

野原しんのすけ

ジト目をシュンの方を見て、やれやれ……と肩を竦め、お手上げのポージング。

野原しんのすけ

「シュンはよく自分をおねいさんおねいさんって言うけど
　もっといっぱいご飯食べてボインになってから言った方が
　いいと思いますな」

野原しんのすけ

「でもこのお年頃なら、背伸びしがちだから
　おねいさんぶるのも致し方なしですな、うんうん」
シュンの肩に手を置いて、勝手に理解者面する。

野原しんのすけ

「え？そうなの？女の人も苦労してるんですなぁ
　でもシュンちゃんが言っても説得力無しだゾ」

野原しんのすけ

「あ、それよりも、ホイ」
ゴソゴソとポッケから、使い捨てカイロを取り出し、シュンに手渡す。

野原しんのすけ

「さっきオラのお鼻をかんでくれた時、手が冷たかったから
　これ、あげるゾ」

野原しんのすけ

「かあちゃんがオラに持たせてくれたけど、ケチンボだから
　一個しかくれなかったけど、でも別にオラは数の子だから
　寒さなんてヘッチャラだし、シュンちゃんが持った方が絶対いいゾ」

野原しんのすけ

別に何か裏があるというわけでもなく、素でそんなことを言う。
しんのすけは良くも悪くも何も考えてなく、その場その場で
自分のしたいことをしているような5歳児であった。

野原しんのすけ

「オ！それは名案ですな～！」

野原しんのすけ

「……あ、そうだ」
今思いついたような顔で。

野原しんのすけ

「このこと！春原先生にも伝えてほしいなぁ～？って
　うへへ、春原先生のポイント稼ぎだゾ」

野原しんのすけ

デレデレと、鼻の下を伸ばしながらそんなことを言う。

野原しんのすけ

「そうとも言う～～～」

野原しんのすけ

楽しそうにしながら。

野原しんのすけ

「それにしても、とうちゃんもかあちゃんも中々根がケチ臭いゾ
　初詣するなら人の少ないこっちの方が良いって言ってたけど
　でも、こっちの道にはあったかいものも無いから、なんだか寂しいゾ」

野原しんのすけ

「オ！」

野原しんのすけ

「お～～～～……ふぜーがありますなぁ」

野原しんのすけ

辺りをゆっくりと見渡しながら、シュンと一緒に歩き
なんとなく思ったことを口にする。

野原しんのすけ

しんのすけも老夫婦に、おっす！と手を挙げて挨拶を終え。

野原しんのすけ

「確かに……じゃあとうちゃんとかあちゃんは、MVP……？」

野原しんのすけ

「シュンちゃんそれ」
ジト目で見て。

野原しんのすけ

「おばちゃんみたいだゾ」

野原しんのすけ

「オ！」

野原しんのすけ

遠くに見えてくる神社を、目元の上に手を置き、見据えながら。

野原しんのすけ

「ん～～～～～そうだなぁ……
　春原先生とおつきあいできますようにっていうのとー
　あとはあとは」

野原しんのすけ

「とうちゃんもかあちゃんも、ひまわりもシロも
　みーんな元気で過ごせますようにってところですかな」

野原しんのすけ

「オラがこーして神様にお願いしないと
　とうちゃんは足の臭さで、かあちゃんは三段腹で
　絶対に死にかけちゃうもんなぁ……」
うんうん、と深刻な表情で腕を組んで頷き。

野原しんのすけ

「あ、それとシュンちゃんがボインなおねいさんに
　ちゃんとなれるようにって、それもお願いしとくゾ」

野原しんのすけ

「まーまーまー
　それでシュンちゃんはどういうお願いをするの？」

野原しんのすけ

「オ！」

野原しんのすけ

「立派なお願いですなぁ、うんうん
　みんなが幸せになれば、それはもう世界平和でもあるゾ！」

野原しんのすけ

「オ？」
きょとんとした顔で、シュンを見ながら小首を傾げ。

野原しんのすけ

「お悩み事ですかな？
　それだったら別に、オラに言ってくれてもいーのに」

野原しんのすけ

「オ！いいよ～～～！」
手を掲げながら、軽やかに即答。

野原しんのすけ

「それじゃあ～、神社まで競争だゾ！ブ～～～～～～ン」

野原しんのすけ

何がそれじゃあなのかは定かではないが
自由人なしんのすけは、両手を広げながら、タタタッ！と
境内へと走って行く。

野原しんのすけ

「とーちゃく！」
着地。

野原しんのすけ

「オ！シュンちゃんシュンちゃん見て見て～！
　大きな神社だゾ！」

野原しんのすけ

神社を指差し、オ～！と感心の声を漏らしながら見上げている。
特に息を切らした様子はない。体力バカである。

野原しんのすけ

「……ところで、参拝ってどうやるんだっけ？」

野原しんのすけ

「むむむ……！」
少しムッとした顔になり。

野原しんのすけ

「や、やっぱりオラ！知ってるゾ！
　えーとえーと……確か、こうだゾ！」

野原しんのすけ

ムキになり、意地を張ってそのまま神社の方に走り。
鈴を鳴らす綱を握って。

野原しんのすけ

ジャラジャラジャラジャラ！！と、いきなり鳴らす。

野原しんのすけ

「おはよーございます！神様！
　オラ！野原しんのすけ！5歳！」

野原しんのすけ

「好きなものはチョコビと、きれいなおねいさんです！
　今年もよろしくお願いもーす！！」

野原しんのすけ

そして、かあちゃんから渡された小銭を、ポイ！と
賽銭箱に入れ。

野原しんのすけ

パチり！と手を合わせ、南無南無。

野原しんのすけ

心の中で、先程シュンに話した願い事を全て言い。

野原しんのすけ

「………どーだ！」

野原しんのすけ

振り向き、シュンに胸を張り、腰に手を当てながらエッヘン！と。

野原しんのすけ

「いや～～～～それほどでも～～～～！」

野原しんのすけ

普通に嬉しそうに照れながら、頭の後ろを掻く。

野原しんのすけ

単純な生き物だった。

野原しんのすけ

「わ～～～～い！それならOK牧場ですな！」
両手を掲げ、ぴょいんとジャンプしながら、シュンのところに戻ってくる。

野原しんのすけ

「？」

野原しんのすけ

5cmくらい足りなかった。

野原しんのすけ

「！」

野原しんのすけ

「お～～～～～～～～～～～～～～……！！」

野原しんのすけ

後ろでぱちぱちぱち、と拍手している。

野原しんのすけ

「たんびですな」

野原しんのすけ

「えっへん！」

野原しんのすけ

また胸を張り、どや顔。

野原しんのすけ

「！？」

野原しんのすけ

目を真ん丸にして、そこにある荘厳な神社を見る。

野原しんのすけ

「どゆこと！？」

野原しんのすけ

1d100<=60 SANc (1D100<=60) ＞ 98 ＞ 失敗

野原しんのすけ

1d2 (1D2) ＞ 1

野原しんのすけ

ぶるりと震える体、それは決して、寒さにやられたものではなく。

野原しんのすけ

「わ、分からないゾ……」
ごくりっ、と唾を飲み込みながら、眉を顰め。

野原しんのすけ

「………お、お～～～～～い！誰かいますかー！」
思い切って、神社の方に大きな声を出す。

野原しんのすけ

「………だ、誰もいない……？……いや、これは絶対！
　ドッキリか何かだゾ！……シュンちゃん！これは……
　そ、そういうことなんだゾ！」

野原しんのすけ

それはまるで自分に言い聞かせるようでもあって。

野原しんのすけ

「……………」

野原しんのすけ

こくりと頷いて。

野原しんのすけ

「……わかったゾ、でもオラから離れちゃダメだゾ！」

野原しんのすけ

しんのすけの心には不安の色が、確実にあったが。
しかしそれでも、かすかべ防衛隊の一人として
ここで怖気づいたままじゃダメだと、自分で自分を鼓舞し。

野原しんのすけ

まずは、目の前の神社について知ろうとして。

野原しんのすけ

ccb<=90 かすかべ防衛隊ファイヤー！（聞き耳） (1D100<=90) ＞ 11 ＞ スペシャル

野原しんのすけ

「…………え？……今、何の音……？」

野原しんのすけ

「！　シュンちゃんシュンちゃん！来て！
　小鳥がこんなところに……！」

野原しんのすけ

無害なのかどうかを確かめるべく、勇敢なのかそれとも考え無しなのか
小鳥へと手を、ゆっくりと伸ばしてみる。

野原しんのすけ

「だいじょーぶ！オラは……かすかべ防衛隊だから！」

野原しんのすけ

「！」

野原しんのすけ

そのまま黒い小鳥を自分の肩まで移動させるように、誘導してみる。

野原しんのすけ

「お～～～～～～！」

野原しんのすけ

「シュンちゃんシュンちゃん！この子、良い子だゾ！」

野原しんのすけ

先程まで怖がっていたというのに
すっかりと、ケロっと元気な様子で。

野原しんのすけ

「ほれほれ、お前はなんて言うんだ？
　ここに迷いこんじゃったのか？」
小鳥を指先で、お腹のあたりを摩り。

野原しんのすけ

「オ～～！ぴゅい太って言うらしいゾ！」

野原しんのすけ

そしてぴゅい太が見てる方の鳥居を見て、小首を傾げる。

野原しんのすけ

「あっち見て鳴いてるみたいだゾ？」

野原しんのすけ

ccb<=70 アイデア (1D100<=70) ＞ 9 ＞ スペシャル

野原しんのすけ

「あ、そうだ！ぴゅい太、それにシュンちゃん！
　少し小腹空いてない？」

野原しんのすけ

ごそごそとポッケを探って。

野原しんのすけ

ccb<=90 チョコビ (1D100<=90) ＞ 12 ＞ スペシャル

野原しんのすけ

「ホイ！オラがおやつに取っておいたチョコビだゾ！」

野原しんのすけ

袋に入ったチョコビを開け、その中から一粒ずつ
シュンとぴゅい太に分けようとして。

野原しんのすけ

そして、チョコビをポッケから出そうとした時。
何か、パンフレットのようなものも、地面に落ちる。

野原しんのすけ

そこには、神社に纏わる小難しい話が色々と載っており。
その中に、『鳥居』についても書かれてあった。

野原しんのすけ

「え？」

野原しんのすけ

「？」

野原しんのすけ

パンフレットについては、何も知らなさそうな顔をしている。

野原しんのすけ

というのも、かあちゃんに持っていくように言われるも
しぶしぶポッケに入れたまま、記憶から吹っ飛んだ。

野原しんのすけ

「！」

野原しんのすけ

「ぴゅい太お前……それをオラ達に教えてくれたのか！」

野原しんのすけ

「お～～～～～！！ぴゅい太はえらいなぁ！
　じゃあチョコビもう一個あげる」
袋からガサガサと、チョコビをもう一個ぴゅい太にあげる。

野原しんのすけ

「いや～～～それほどでも～～～」
照れながら、うへへと笑い。
しんのすけも、ボリボリとチョコビを食べ。

野原しんのすけ

「よぉ～し！それじゃあぴゅい太を新しく！
　かすかべ防衛隊のメンバーとして迎え入れて！
　新生かすかべ防衛隊！出動だゾ～～！」

野原しんのすけ

腕を掲げ、鳥居の方へ進んでいく。

野原しんのすけ

「！？」

野原しんのすけ

「ぴゅい太！？あれはなんだ！？」

野原しんのすけ

「！　ふむふむふむ……」

野原しんのすけ

腕を組んで、頷きながら。

野原しんのすけ

「そーそ！ぴゅい太がそういうなら、きっと大丈夫だゾ！」

野原しんのすけ

ぴゅい太のことを信頼し、そのまま参道を歩いていく。
ちらりと、青い炎を見ながら。

野原しんのすけ

「……？」

野原しんのすけ

「今のって……？」

野原しんのすけ

「……もしかして？」

野原しんのすけ

青い炎の方を見てみる。

野原しんのすけ

1d100<=59 SANc (1D100<=59) ＞ 36 ＞ 成功

野原しんのすけ

「………」

野原しんのすけ

「うん、いるゾ！」

野原しんのすけ

真剣に、そしていつものしんのすけのような口調で、炎へと語り掛ける。

野原しんのすけ

「ダイジョブダイジョブ！」

野原しんのすけ

シュンにフォローを入れながら。
肩に乗せたぴょい太を見せ。

野原しんのすけ

「おっす！オラしんのすけ！呼びましたかな？」

野原しんのすけ

青い炎へと、明るい調子で語り掛ける。

野原しんのすけ

「………………！」

野原しんのすけ

ちらりと、シュンの方を見て
そして、ぴゅい太の方も見て。

野原しんのすけ

「一緒にいて、楽しいって思えるのが、お友達だゾ」

野原しんのすけ

「一緒にボールを投げたり、絵を描いたり、遊んだり
　チョコビを食べ合ったり、ケツだけ星人したり
　色んな楽しいことをできるのが……お友達だゾ」

野原しんのすけ

「……キミは？お名前は？」

野原しんのすけ

「………じゃあ、今決めよう！」

野原しんのすけ

「シュンちゃん！何かいいアイデア！」

野原しんのすけ

「お～～～～～～～～～～！！ぐっどせんすだゾ！」
感心したような顔で、ぱちぱちと拍手。

野原しんのすけ

「じゃあ、キミのお名前はタマちゃんだゾ！」

野原しんのすけ

「ホイ、これ」

野原しんのすけ

ガサガサ、とチョコビの入った袋から一粒、チョコビを
青い炎へと差し出す。

野原しんのすけ

「お近づきの印だゾ！これでもう、オラ達は」

野原しんのすけ

「お友達だゾ！」

野原しんのすけ

「………うん！待ってるゾ！」

野原しんのすけ

「……ばいばい、またね」

野原しんのすけ

「…………！」
オレンジ色のビー玉を受け取り。

野原しんのすけ

「……うん！大切にするゾ！」

野原しんのすけ

手を大きく振り、その青い炎を見送る。

野原しんのすけ

「………ちょっぴり、しんみりだゾ……」

野原しんのすけ

ccb<=90 かすかべ防衛隊ファイヤー！ (1D100<=90) ＞ 56 ＞ 成功

野原しんのすけ

「オ？……これが欲しいのか？ぴゅい太？」

野原しんのすけ

「お～～～～！じゃあ、ホイ！
　オラのお友達から貰ったものだから、大事にするんだゾ！」

野原しんのすけ

ぴゅい太に、オレンジ色のビー玉をあげる。

野原しんのすけ

「お～～！お前すっごく器用だな～！」
感心したようにして、頷き。
元気そうな姿に、しんのすけもその元気さが伝わり、楽しそうにする。

野原しんのすけ

「……シュンちゃん！」
そして、シュンの方に振り向いて。

野原しんのすけ

「オラ、"あの子達"にも、ご挨拶しに行きたいゾ！」

野原しんのすけ

そうして、残す浮かぶ、二つの青い炎を真っ直ぐを見やり。

野原しんのすけ

「……寄り道しても……？」

野原しんのすけ

「！！！」

野原しんのすけ

「わっほほ～～～～い！！ありがとうだゾ！
　さっすが！かすかべ防衛隊のメンバー！シュンちゃんだゾ！」

野原しんのすけ

「！」

野原しんのすけ

「……うん！きっと、"あの子達"も、喜ぶと思うゾ！」

野原しんのすけ

「おねいさんじゃないけど」

野原しんのすけ

ぽつりとそう呟き。

野原しんのすけ

「まーまーまーまー」
シュンのお口にチョコビをまた一つ突っ込み。

野原しんのすけ

「お～～～！」
拳を掲げ、進む。

野原しんのすけ

1d100<=59 SANc (1D100<=59) ＞ 4 ＞ 成功

野原しんのすけ

「……？看板みたいだゾ？」
見上げて。

野原しんのすけ

「！？　す、透けてるゾ！？……おそろしや……」

野原しんのすけ

ccb<=70 アイデア (1D100<=70) ＞ 32 ＞ 成功

野原しんのすけ

「ふむふむ……？」

野原しんのすけ

「お～～～～！！じゃあすっごい神様がいたんですなぁ！」

野原しんのすけ

「そんな神様なら、オラもっときちんとご挨拶したかったゾ……」

野原しんのすけ

小難しいことが書かれており、5歳児にはイマイチよく分からなかったが。
シュンの説明のおかげで、ようやく書いてあった内容が分かったしんのすけ。

野原しんのすけ

そして、少しガッカリとした様子で、肩を落とす。

野原しんのすけ

「そうだといいなぁ……」

野原しんのすけ

「シュンちゃんのことは、ちゃんと覚えていてくれてるかも
　しれないですなぁ、だってこんなにも優しいし
　おっぱい無いけど」

野原しんのすけ

「オ！それはそうだゾ～！」

野原しんのすけ

てくてくとシュンの後に着いていく。

野原しんのすけ

よほどの能天気なので身構えてない。

野原しんのすけ

！　きれいなおねいさんな声だゾ！

野原しんのすけ

シュンの後ろで、キリッ！と決めた顔で顔を出してる。

野原しんのすけ

「………」

野原しんのすけ

「………！」

野原しんのすけ

シュンの方を見て。少し目を丸くして、話に聞き入る。

野原しんのすけ

女性が抱える悩み、というのはしんのすけにとっては
あまり身近ではなかった。しかし、この女性研究者の抱える悩みというのは
しんのすけにとっても、モヤモヤするもので……
でも、言葉にできなかったところを、シュンが口にしてくれて。

野原しんのすけ

「…………！！」

野原しんのすけ

目元をゴシゴシと擦り。

野原しんのすけ

「……春原先生……？」
その後ろ姿がまるで、大人の、きれいな、春原先生のように
一瞬だけ見えたため、驚いたようにしながら。

野原しんのすけ

瞬きをすれば、それは自分と背のあまり変わらないシュンに戻り。

野原しんのすけ

「……オ、オラも！応援するゾ！！」
後ろで、人魂に手を振って。

野原しんのすけ

「オ！……お～～～～～！！本当だ！キラキラしてるゾ！」

野原しんのすけ

シュンの方へと、てくてくと歩き、覗き込むようにして。

野原しんのすけ

「！　……あ！おねいさん！そういえばお茶でも……ああ……！！」

野原しんのすけ

消えてしまった。

野原しんのすけ

ガーン、としていたところに、ぴゅい太の鳴き声が聞こえ。

野原しんのすけ

「……オ？ぴゅい太、今度はシュンちゃんのビー玉も欲しいのか？」

野原しんのすけ

「全くも～、よくばりばりさんですなぁ」
腕を組み、やれやれ、と言いたげな顔をしながら、見守る。

野原しんのすけ

「おお～～～～～～～～……！？意外にも力持ち！？」

野原しんのすけ

「よしよし、それじゃあ……3人目にも！ご挨拶しに行こう！」

野原しんのすけ

自分の肩に乗っかったぴゅい太を見届けた後
シュンの方を向いて、そう提案する。

野原しんのすけ

同じくしんのすけも、こうして人助けできることに
誇らしさを感じながら、3人で一緒に、最後の人魂の方へと
シュンに引っ張られ。

野原しんのすけ

「おっとっと～！？はしゃぎ過ぎたら転んじゃうゾ～！？」
そのまま、向かっていく。

野原しんのすけ

ccb<=70 アイデア (1D100<=70) ＞ 33 ＞ 成功

野原しんのすけ

「…………」

野原しんのすけ

「……う、羨ましいゾ！！！」

野原しんのすけ

シュンが読んでいる古文書を横から覗き見て、そう叫ぶ。

野原しんのすけ

「いっとううつくしいむすめ……どんなおねいさんなんだろう……！」

野原しんのすけ

うへへへ、と鼻の下を伸ばしながら、妄想してた。

野原しんのすけ

「！？！？！？！？！？お、おねいさんに嫌われるのは嫌だゾ～～！！」

野原しんのすけ

「シュンちゃんは、別にそーゆー対象じゃないので、ご心配なく」
手を振りながら。

野原しんのすけ

げん
こつ

野原しんのすけ

しんのすけの頭にたんこぶができながら。

野原しんのすけ

「ほ、ほら、お次行きましょう～……」

野原しんのすけ

「おっす！いるゾ！」
手を挙げながら、人魂をじっと見つめ。

野原しんのすけ

「………………」
拳をきゅっと握り締め、老人の話を真剣に聞き終え。

野原しんのすけ

「………オラ、アクション仮面が好きで、将来の夢も
　アクション仮面になることだけど
　でも……ヒーローしたくても、助けられないようなものがあったら
　………オラ………」

野原しんのすけ

少し俯き、拳をさらに、ギュッと固く握り締める。

野原しんのすけ

「……………努力は、報われるべきだとオラは、思うゾ！だから……」

野原しんのすけ

「……誰も行きたくもないような戦争に、ちゃんと兵隊さんとして
　参加して……命が危ない目に遭っても、それでも頑張って
　生き延びて……戦って……」

野原しんのすけ

「……たしかに、お爺ちゃんは……家族を守れなかったかもしれないゾ
　でも……それでも、守れたものはきっと、あるはず
　もしかしたら、オラがその一人なのかもしれない、だから」

野原しんのすけ

ぺこりっ、と頭を下げ。

野原しんのすけ

「ありがとうございました！」

野原しんのすけ

平和とは、誰かの犠牲の上で成り立っている。
つまるところ、この老兵の命によって長らえた命は、確実に存在する。
"努力"は、自分の望む形で報われることはないかもしれない。
しかし─────その行動全てが、無駄に終わるだなんてことは、決してない。

野原しんのすけ

だからこそしんのすけは、敬意を持って老兵に感謝を伝えた。
今の自分達がいるのは、この老兵のおかげであると言っても過言では、無いのだから。
きっと、この老兵にとってはちっぽけな報われ方かもしれない。
それでも─────しんのすけは、しっかりと伝える。

野原しんのすけ

"ありがとう"と。

野原しんのすけ

もちろんしんのすけは、ここまで深く考えていないのかもしれない。
直感で、自分がそうしたいからそうしたに過ぎないかもしれない。

野原しんのすけ

「！」

野原しんのすけ

白色のビー玉を拾い、そして強く握り。

野原しんのすけ

強く、眼前の青い炎を見て。

野原しんのすけ

無限で、ビシッ！と、敬礼を。

野原しんのすけ

最後の最後まで、消える一瞬も。
そして、その後も敬礼を取り続け。

野原しんのすけ

「………………………なんだか、やるせないゾ」

野原しんのすけ

「オラ、ああ言ったけど……もしも、とうちゃんにかあちゃん
　ひまわりにシロがいなくなっちゃったら………」

野原しんのすけ

眉をハの字にし、しょぼくれたようにし。

野原しんのすけ

「わ……！……ぴゅい太、慰めてくれるのか？」

野原しんのすけ

「……………」

野原しんのすけ

こくりと、黙って頷き。

野原しんのすけ

「……オラ、もっともっと、強くなるゾ」

野原しんのすけ

ぴゅい太とシュンの温もりを感じながら、空を見上げ。

野原しんのすけ

しばし、そのまま時を過ごし……。
「……ぴゅい太、このビー玉はお爺ちゃんの誇りだゾ」

野原しんのすけ

ぴゅい太に、白い玉を渡そうとし。

野原しんのすけ

「落としちゃ、ダメだゾ！」

野原しんのすけ

同意するように、頷き。

野原しんのすけ

そしてかすかべ防衛隊は─────鳥居へと、進んでいく。

野原しんのすけ

色んな人と出会ったこの場所とはもうじき……お別れだ。

野原しんのすけ

「！？　ぴ、ぴゅい太！？」

野原しんのすけ

「！！！！！！！！　き、きれいな……おねいさん……！！！」

野原しんのすけ

おぉぉぉぉ～～～～～～～～……！！と声を上げ、目をキラキラとさせ
鼻の下を伸ばしながら、現れた女性を見上げる。

野原しんのすけ

「いえいえいえとんでもございません！
　……それよりもおねいさん、これからお茶でも～」

野原しんのすけ

すっかりデレデレな様子のしんのすけ。

野原しんのすけ

ガ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ン。

野原しんのすけ

orz

野原しんのすけ

フラれてショックを受けるしんのすけ。

野原しんのすけ

「う、うぅぅぅ……じ、じゃあじゃあ……おねいさんは……？」

野原しんのすけ

「せめて、お名前だけでも……」

野原しんのすけ

「茅おねいさん……うん、しっかりと覚えたゾ！」

野原しんのすけ

ccb<=90 かすかべ防衛隊ファイヤー！ (1D100<=90) ＞ 8 ＞ スペシャル

野原しんのすけ

「…………！！……幽霊みたい……あれ？……そーいえば……」

野原しんのすけ

シュンの肩を突っつき。

野原しんのすけ

「さっき見つけた古い本、ある？」

野原しんのすけ

「ありがとう！……ふむふむふむ」

野原しんのすけ

「……茅おねいさん！もしかして、ここに書かれているのって……？」

野原しんのすけ

古文書の中身を、茅にも見せるようにする。
神様の嫁となった、女性の話。

野原しんのすけ

「………！……おねいさんは、でも……寂しくなかったの？」

野原しんのすけ

「ここにいるってことは……家族と、お友達と
　もう……ずっと会えてないんだよね？」

野原しんのすけ

「…………」
茅おねいさんの話を真剣な表情で聞きながら。

野原しんのすけ

「………茅おねいさんは？」

野原しんのすけ

じっと見つめて。

野原しんのすけ

「……無いの？」

野原しんのすけ

「……未練、だゾ」

野原しんのすけ

「オラ、ここで色んな人と出会ったゾ」

野原しんのすけ

「オラと同い年の子に、夢を追いかけてたおねいさんに
　家族のために頑張って戦ってきたお爺ちゃんに……」

野原しんのすけ

「……みんな、何かモヤモヤするものを持ってた
　ここって……おねいさんの言うように、モヤモヤしたものが
　集まっちゃうような、そんな場所なんだなって思って」

野原しんのすけ

「……じゃあ、茅おねいさんは？
　ここにいるなら……あるんじゃないの？って……未練」

野原しんのすけ

「………！」

野原しんのすけ

「茅おねいさん」

野原しんのすけ

一歩、踏み出し。

野原しんのすけ

野原しんのすけ

「"努力"は、報われるゾ！」

野原しんのすけ

野原しんのすけ

「うっ……！眩しっ……！？」
目を細めながら、ゆっくりと瞼を開けると……。

野原しんのすけ

「……え？……ぴゅい太……？」

野原しんのすけ

何度も瞬きをする。

野原しんのすけ

「…………！！……え？かむい……？」
きょとん、とした顔をしながらも。

野原しんのすけ

とゆうか………イ、イケメン…………！？

野原しんのすけ

そこに一番狼狽しているしんのすけであった。
ぴゅい太はそれこそ、手のひらサイズで、可愛らしい小鳥だっただけに
その落差に、めちゃくちゃ動揺が走っている。

野原しんのすけ

たらりと冷や汗を垂らし、青年を見上げつつも。

野原しんのすけ

「……え？じ、じゃあ……茅おねいさんをお嫁さんにしている
　神様って、もしかして……？」

野原しんのすけ

ガ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ン。

野原しんのすけ

敗北。その二文字しか、しんのすけにはなかった。
戦う前に勝負が決まっているとはこのこと。勝てるわけがなかった。

野原しんのすけ

orz

野原しんのすけ

げっそりとした顔で起き上がり、神の方へと向く。

野原しんのすけ

「………！」
茅おねいさんの足元を見て、目を少し大きくして頷く。

野原しんのすけ

男の言葉を全て聞き……はぁぁぁぁぁぁ～～～～～……と、大きな溜息を一つ。

野原しんのすけ

「……んも～～～、全くしょうがありませんなぁ～」

野原しんのすけ

やれやれ、とお手上げのポーズをしながら、男の方に歩き。

野原しんのすけ

「……オラよりも先に、茅おねいさんのことを思って行動してたなら
　それならオラも、すっぱり諦めるゾ、でもでも、その代わり……」

野原しんのすけ

ポケットから、チョコビの入った袋を、袋ごと男に手渡し。

野原しんのすけ

「……お友達のなり方はもう、教えたゾ、ぴゅい太」

野原しんのすけ

「あとはもう、男はガッツだゾ！」

野原しんのすけ

パシン！と男のふくらはぎを叩く。

野原しんのすけ

ビシッ！とぴゅい太の後ろ姿に、敬礼。

野原しんのすけ

……………ハッピーなら、それでいいや。

野原しんのすけ

ぴゅい太も、茅おねいさんも、お幸せに、だゾ！

野原しんのすけ

そんなことを心の中で呟きながら、瞼を閉じていく─────。

野原しんのすけ

「……う、うぅぅぅ～～～っ、さぶいゾ～～！！」

野原しんのすけ

むくりと起き上がったしんのすけは、ぶるりと体を震わせる。
冬の寒さが身に沁みて、また鼻水がたらりと垂れてしまう。